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心臓冠動脈閉塞への処置


「発端」

2011年5月11日に肩凝りが激しいので布川気功整体治療院で見てもらったら、肩こりではなく心臓の動脈が
詰まっている可能性があるとの診断。
ここはマッサージ師のお母さんと、身体内部が見通せると言う盲目の娘さん二人で治療院を開いている。


前日にはゴルフの後の懇親会でビールと日本酒を少し多めにのんだ所為か、夜中に肩から首筋への絞るような
感触と、息がつまるような症状に鎖骨の周辺にシリアスではないが痛みがあって目が覚め、寝ていると背中から
首筋に痛みがあるので起きあがり、暫く座った状態でいると楽になり、そのまま就寝。
肩コリをほぐすマッサージをしてもらうために整体治療院を訪れたのが、結果は上記の次第。

確かに、今年初めから急ぎ足で歩いたり、朝冷たい風に当たると同じような症状が出ていたけれど、PCに
集中していた為の肩コリの影響だろうと思っていて、まさか冠状動脈の梗塞の影響とは思ってもいなかった。

娘さんの診断では動脈二本が詰まっているとのこと。だまされたと思って、すぐに病院で診てもらえと言われ、
家内の通っている循環器系医院の清宮クリニックへ行くことにする。

それでも10日と13日はゴルフプレーするも、特に異常はなかった。

「初診」

同5月14日に清宮クリニックで事情を説明し、負荷心電図(階段状になった台で2段上り下りを3分行い、
その後に心電図を採る)を取ったら、清宮医師からこれは狭心症で、布川さんの言うように冠状動脈が詰まって
いるかもしれない、とのご宣託。北総病院を紹介するからカテーテル検査を受けて、調べた方がよいとのことで
紹介状をもらった。

その際、血管を拡張させる薬(ヘルべッサーR)と血液をサラサラにする薬(プラビックス)を貰い、毎日飲んだ
ためか、その後息のつまるような症状は出なくなっていた。

診療後の16日にも近くのゴルフ場でプレーしたが、昼夜ともに全く問題なし。

「病院へ」

同年5月17日に北総病院内科循環器外来を訪問。担当になった医師は栗原理先生。まだ若そうで髭なども
伸びた状態で、大丈夫かいなと言う感じがしないでもない。

清宮先生が北総病院でいまだに週一回は診察されている関係か、紹介状の威力か、診察の一番目に呼ばれた。
それでも、検査とその結果の診断が終わったのは昼過ぎ。

一連の検査(血液、心電図、胸部レントゲン)の上での診断は、清宮クリニックで行った負荷心電図の結果が
良くないので、カテーテル検査をしましょうとのこと。北総病院での検査結果からは多分狭心症の兆候は見えず、
清宮医師の判断に従ったものと思われる。

検査には2泊3日が必要で、一応24日からの入院と言う事で、入院に当たっての説明と、入院予約書を貰った。

「カテーテル検査とは」

検査のためには入院が必要で、2泊3日の検査となる。もし、検査中に問題判明すれば、その場で治療も
おこなえるとの事。入院は5月24〜26日と決定。カテーテルの挿入は足からではなく、腕から入れましょう
とのことで、少し気は楽になったかな。

足の場合は太腿の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、心臓まで送り込むことになり、検査終了後も止血の
ために相当時間が必要だが、手の場合は手首から挿入されるので心臓までの距離も短く、止血も比較的楽だとの事。

カテーテル挿入は検査(冠動脈造影検査)と治療(経皮的冠動脈形成術)の二種あり、検査の結果で治療方法を
決めるらしいが、今回は検査過程で不都合があればその場で治療する方法を選択。医師の判断もそれほどの重症
とは見ていないのではと推察した。

カテーテル検査そのものはそれほどのリスクはないのだろうが、動脈に管を入れて心臓まで見ると言うと、
なんとなく不安感がでる。弁膜症などとは異なるので、心配はしないものの、病気慣れしていない身にとっては
大事であることに間違いはない。


検査入院

「検査入院」

入院日の5月24日は病院に向かう途中から雨ふり。病院の駐車場から玄関まで濡れて行った。
9時半から心臓超音波検査(心エコー)になるため、朝一番に病院に入り、検査後、入院手続きに入る。

17日の診断の後、入院予約表と心エコーを受ける患者への案内書を貰い、そのまま帰宅したので、
入院案内などの資料を貰っていなかったが、17日に事前に入院手続きが必要であったらしい。
当日に「入院誓約書」と「室料差額承諾書」に署名し提出。入院予約表には大部屋(差額有)と書かれていたが、
当日の病室は個室になっていた。家内曰くは「共同部屋が満室なら個室でも良いなどと言えば当然個室になるわよ」、
そんなものか。一般個室の差額ベッド代は15,750円。ちょっとした高級ホテル並み。

まあ、短期間なので個室の方が気楽だろう。担当看護婦も挨拶に来た。寝巻に着替えたものの特にすることもなく、
昼食まで家内と睨めっこ。数独などをやって時間つぶし。

その内、若い男性看護師?医者?が採血しましょうとやってきた。血管を探すのに手間取り、大丈夫かいなと
思っているうちに、針を刺したが痛いこと痛いこと、今までの採血では経験のない痛みで、相手も感じたのか
慌てて針を抜くと、「場所変えましょう」と反対の腕の血管を探し始めた。
何とか見つけると針を再度差し込んだが、これもさっきに比べて幾らかましとは言え、痛いのなんの。
経験が少ないと採血がこんなに難しいものだったとは思いもよらなかった。普段の看護婦の採血など蚊に
刺された程度の痛みしかないのに。

看護婦が入院期間中の説明に来た。24日は行動は自由で、25日にカテーテル検査、特に問題なければ26日の
午前中に退院できるとの事で、「心臓カテーテル検査・経皮的冠動脈形成術を受ける方の入院診療計画書」
なるものを貰い、「入院に関してのご説明」「造影剤使用に関する説明書、問診票および同意書」と
「転倒・転落の危険防止対策」なる書類が交付され、同意書には署名した。書類が多くてじっくり読んでられない
ので、お任せの意味での署名にならざるを得ない。

次いで、薬剤師が訪れ、検査期間中の投薬内容についての説明が有った。点滴の内容と造影剤の種類、必要に応じて
使用する薬剤につき話がされた。


夕刻になって、医師の説明が有った。帰宅前だった家内も一緒に話を聞く。

下図に基づき、病気の性質、カテーテルの挿入方法、検査内容について一通りの説明が有った。今回は心筋梗塞の症状
ではなく、狭心症であるので動脈内の堆積物を取り除き、多分ステントを挿入することになる。
大した処置ではないので45分くらいで終えられる。
検査当日は食事を摂らず、水分はしっかり摂るようにとの事。


検査

「検査室へ」

5月25日の午前中は休息、検査前で入浴もOKとの事で、検査後は暫く風呂にも入れないと考えて、早めにシャワーを
浴びて手術着に着替え、看護師の迎えを待つ。


家内は早朝から来院してスタンバイ。

昼過ぎに、看護師が迎えに来て、手術室へ徒歩で向かう。
看護師は「検査は45分くらいかかり、戻りは車いすを使います」と家内に伝えていた。

手術室に入ると、栗原先生と看護師2〜3名、更に、救急救命隊の医師と称する人たちが2階の観察場所に4名待機。
カメラ技師らしい人も同席。

「よろしくお願いします」とこちらから挨拶。ベッドに上がる。

先ずは、点滴用器具が取りつけられて点滴開始。診断用の吸盤付リードを胸、手、足に着けて計測開始。
右腕が消毒される。万一、手から入らない場合を考えて、太ももの付け根も合わせて剃髪、消毒が行われる。
手首部分に麻酔が打たれる。

以上で事前準備が完了。


「検査実施」

右手の手首の動脈が開かれ、そこに管を入れて、カテーテルを通すことになる。

全身麻酔をするわけでもないので、検査中の医療関係者の動きは全て判り、心臓の状況もモニターテレビで
見ることができる。

医師がカテーテルは心臓まで届きましたと言い、いよいよ血管の検査が行われる。

冠動脈の一部が90%以上閉塞しているし、一部石灰化しているとの事。この石灰化部分をまず潰し、その上で
ステントを挿入すると言う事になった。さらに、もう一か所70%ほど詰まっているが、幹線の血管ではないので、
今回は特に処置は行わないとの事。

暫くして、2階から「何だこれは!」「どうなってるんだ、今までこんなの見たことないぞ」などと言う声が聞こえ、
その内、看護師が「先生、酸素吸入器準備しますか?」と叫んでいる。なんだ、何だ、何が起こってるの〜、患者には
その辺の経過は全く告げられることはなく、ただひたすら無事に検査の終わるのを待つしか無し。

家内は看護師から患者は45分くらいで戻ると伝えられていたのに、1時間たっても戻ってこないので、どうなってるのか
と心配していたらしい。そのうちに、看護師が室内のベッドを取に来て、持ってゆくので何事が起ったのかと聞いても、
よく判らず、2時間たっても戻らないので、ナースセンターに問い合わせても「間もなく戻る」との事だけで、要領を
得なかったらしい。

結局、検査開始から2時間くらい経って、点滴状態のまま病室から運ばれたベッドに移され、更に1時間以上もそのままの
状態で放置されていた。看護師は無言で、事情は分からず、病室へ移されるのを待つしかない。

夕方5時頃になってやっと病室に戻されて、「詳細は先生から説明が有ります」と言い残して看護師が去り、その後、
30分おきくらいに看護師が様子を見に来た。点滴はそのまま継続されていて、夜も8時頃になって、「先生からの説明が
有ります」との事で、点滴をぶら下げて、家内とともに医師の部屋へ向かう。

医師からは、先ずは狭心症の治療についての説明が有り、「下図左の如く、冠状動脈に狭窄が有ったが、これは石灰化部分を
取り除いてステントを挿入したことで、解消され血流は復活している(下図・右)。もう一か所、狭窄部分が有ったが、
これは幹線血管ではないし、狭窄も70%程度なので、様子見で大丈夫」との事。

  

「今回、予定の時間より長く処置に掛かったのは、」はい、そこが一番知りたいですよ。

「実は、検査途中で血管に空気が入ってしまいました。この空気が、もし、心臓内に入った場合は心筋梗塞を起こし
かねません。血液とともに脳へ入ると脳梗塞の原因になります。このため、この空気が血液に溶解されるかどうか、
様子を見る必要がありました。そのため、検査終了後も一定時間安静にして頂くために、検査室で待機して頂きました。
3時間くらいで進入した空気は血液に溶解し、ほぼ問題ないという判断で病室に戻って頂きました。途中では詳しい説明が
出来ず、ご心配お掛けし申し訳ありませんでしたが、現在は全く問題なくなっています」との事で、まあ、事なきを得た
とはいえ、一歩間違えれば医療事故にもなっていたケースで、「済みません」の一言で終われるものではないと思うものの、
まあ、正直に話してくれたので、ここは大騒ぎせず、「ありがとうございました」で終わろうとの判断。

家内は何か物言いたげではあったが、こちらの意図を察したのか、言葉は飲み込んだよう。

検査後の状況

「検査後」

腕には止血用包帯がされている以外は、空気進入の為に外せなかった点滴も就寝前には外され、遅い夕食も摂れて、
先ずは安心。空気が血管に入るのは医者でもそうそう経験することではないと言う事は、2階にいた救急救命の医者
たちの発言でもわかったが、今にして思えば現場の慌て様は大変なものだったなぁという印象。
よくまあ、助かったものだ。

翌朝は朝食を普通に摂り、退院手続き。経皮的冠動脈形成術を受けた場合は、6か月後に再度患部をカテーテルで調べて、
問題がないかどうか確認することになる。

退院に当たって薬剤(クレストール錠、ヘルベッサーカプセル、ブラビックス錠、パリエット錠各一日一錠)30日分が
出された。

今後のフォローは清宮クリニックにて行うのでそちらへ通院するようにとの事。

検査費用は差額室料を含めて137,496円。

5月27日には清宮クリニックへ状況報告。術後の診察と投薬は清宮先生が行ってくれることになり、2ケ月に1回の
通院になる。

術後検査

「術後検査」

清宮クリニックにて日医大北総病院の検査予約を取ってもらい、同年11月29日〜12月1日が検査日と決定。

今回は4人部屋の窓側ベッドで、室料差額は3,150円/日。

今回は検査だけとは言え、5月と同様手首からのカテーテル挿入となるので、5月と全く同じ事前診察と検査が行われた。
検査に先立つ説明もまったく同じで、入院日の29日は
検査以外は行動自由。30日の検査は、今回は30分程度で終了し、
夕刻の説明も早目にあり、経過は順調で問題なしとの判定。

半年間にわたる、狭心症検査はこれにて終了。以降は清宮クリニックでの2ケ月に1回の診察と投薬が継続される。

その後の状況

「その後の状況」

5月の入院以降は5月29日、30日に予定していたゴルフコンペはキャンセルし、6月6日の町内会の
ゴルフコンペから復活。

スポーツ以外の行事はいずれも予定通りに実施。旅行も2011年6月下旬に中国江南地方へ、7月には北海道へ、
10月には南アフリカへと出かけ、2月頃に感じていた息苦しさや、胸背中の痛みは皆無。今にして思えば、
あの息苦しさが自覚症状だったのだろう。気づかないと言う事はやっぱり問題である。

2011年11月の再検査の結果で問題ないとの事だが、通院は2016年現在も続いている。

術前に感じた症状は現在全くないものの、息切れは以前より強くなっているが、加齢によるものか、術後の経過で
発症するものかは不明。清宮医師からは一部弁膜症が有るとの診断を受け、前立腺がん治療の際の事前検査でも
軽い心臓弁膜症状との注記が有った。風邪の菌が弁膜に付着することが症状を進行させるとの事で、診察時には
いつも「風邪をひかないように」との注意を受けている。

心臓病は一旦罹ると死ぬまで投薬が必要と聞いていたが、まさにその通りになってしまった。
ほぼ、2ヶ月に一回の診察で、1年か2年に一回血液検査や心電図検査を行う以外は、薬の調剤票を貰うだけの
状態が続いている。薬は「バイアスピリン」(これは2007年7月に房総勝浦で熱中症から來る一過性黒内症:
血液の塊が目の動脈に入り、一時的に目が見えなくなる症状:で、亀田病院で検査診察を受けて以来継続的に服用
している血液をサラサラにする薬)、「クレストール」(コレステロール除去薬)、「ランソプラゾール」(胃酸を
抑える薬)の3種で、動脈硬化の防止とステント部分にコレステロールの付着するのを防ぐための服用と思われる。

なお、清宮クリニックでは1〜2年に一回は「ニトログリセリン」を調剤し、万一の時の備えとしてくれている。

まさか自分が「ニトロ」を常備するなど、思ってもいなかったことながら、この薬を使う必要にはいまだ遭遇していない
ことは幸いと言うべきか。


今回の教訓


布川さんへ行ってなければ異常を自覚せず、あの段階で病院に行ってなければ早晩心筋梗塞でどこかの駅で
ひっくり返っていたかもしれない。布川さんには命を救われたと言える。

肩凝りだと思っていたのが、狭心症の自覚症状であったのは初めて分かったことで、今後も他の部位についても、
異常な症状を侮らず、専門医に診てもらう必要を痛感。


又、簡単な検査と言えども、検査過程で何が起こるかは判らないことで、如何なる検査であれ、それなりの覚悟での受診が
必要であると感じたしだい。

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