ヨード造影剤を用いたX線画像検査
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「説明文書」

1.検査の目的
  画像診断には以下のような目的があります。
  ・病気があるのか、正常なのかをはっきりさせる。
  ・どんな種類の病気なのかをはっきりさせる。
  ・病気の広がりや進み具合をはっきりさせる。
  上記のいずれの場合においても造影剤を用いた方が、はっきりとする場合が多く、日常的に
  ヨード造影剤を用いた検査が行われます。

2.検査の内容
  検査の前処置や当日の注意事項や検査の流れについては別紙説明文書に目を通してください。
  (別紙説明書は後述)

3.検査に伴う危険性・造影剤の副作用

 ◎造影剤副作用の種類と頻度
  造影剤は安全な薬剤ですが、副作用の起きる場合があります。副作用の種類は次のようなものです。

  軽い副作用:吐き気、嘔吐、動悸、頭痛、かゆみ、発疹、めまい、ふらつきなどで、基本的に治療を
          必要としません。この様な副作用が起こる確率は100人につき5人以下の割合です(5%以下)。
  重い副作用:呼吸困難、意識障害、血圧低下などです。このような副作用は、通常は治療が必要で、
          後遺症が残る可能性があります。そのため、入院加療が必要なこともあります。
          このような副作用の起こる確率は、約2,500人につき1人の割合(0.04%)です。しかし、
          病状や体質により40万人につき1人の割合(0.00025%)で死亡する場合があります。

  これらの副作用は大部分が造影剤使用後まもなく(通常5分以内、殆どが30分以内)に現れ、
  即時型副作用と言われます。このほか、検査数時間から数日後に発疹、かゆみなどの副作用が起こる
  事があり、これは遅発性副作用と呼ばれます。100人に8人の割合(8%)で見られ、多くは一過性かつ
  軽度の症状です。

  a.副作用の出やすい方
   過去に造影剤で副作用を起こしたことのある方は約4.7倍、喘息の方は約10倍、喘息以外の
   アレルギー歴のあるかたは約1.8倍、副作用の出やすいことが知られています。このような場合には
   造影剤が使えない可能性があります。このほか造影剤使用に同意いただける場合でも、病気の性質や
   そのほかの医学的な理由のため、造影剤を使用しない場合もあります。

  b.副作用に対する処置
   軽度の副作用には経過観察のみで改善しますが、症状の程度により点滴による水分補給や抗アレルギー
   薬、副腎皮質ステロイドの注射、昇圧剤の注射、酸素吸入、気管挿管、人工呼吸器、血液透析などが
   必要となることがありますので、検査担当医の判断に従って処置を受けてください。場合によっては
   入院が必要となります。なお、検査中にスタッフがあなたの状態を注意深く観察しています。もし、体調の
   異常を感じた場合にはすぐに仰って下さい。          

 ◎造影剤腎症について
  ヨード造影剤はそのほとんどが腎臓から尿として排泄されます。そのため腎臓の機能の悪い方では
  造影検査をおこなうことにより腎臓の機能がさらに悪化し腎不全となる場合があります。

 ◎造影剤の血管外漏出
  検査内容によっては勢いよく造影剤を注入する為、血管外に造影剤が漏れることがあります。
  この場合には注射した部位が腫れて痛みを伴うこともあります。通常は時間が経てば吸収されますので
  心配ありませんが、漏れた量が非常に多い場合には治療処置が必要となる場合があります。
  また、注射の痛みが数日間持続する場合もあります。造営CT時の血管外漏出の頻度は
  0.3〜0.9%と報告されています。注入時の痛みが強くなってきたら速やかに検査担当医・
  看護師に伝えてください。

 ◎ビグアナイド系糖尿病薬との併用注意について
  ビグアナイド系糖尿病薬とヨード造影剤の併用により、乳酸アシドーシスを起こすことがあるため、
  造影剤使用前後にビグアナイド系糖尿病薬の一時的な服用中止をお願いしています。
  休薬期間は医師の指示に従ってください。ただし、緊急に検査を行う必要がある場合は
  その限りではありません。

 ◎その他
  上記以外にも重篤な甲状腺疾患のある場合、病態の急激の悪化を招く危険性があるため
  造影剤の使用は禁忌とされています。重症筋無力症のある場合、呼吸器症状が増悪する
  可能性があります。また、一般状態の極度に悪い方、重篤な心障害のある方、重篤な
  肝障害のある方など病態の悪化をきたす可能性があります。

4.検査を行わなかった場合に予想される不利益について
  今回のヨード造影剤を用いたX線画像検査を行わないことにより、病変が検出できない、
  病気の種類を区別できない、或いは治療が出来ない、などの不利益が予想されます。

5.代替可能な検査
  代替検査には造影剤を用いない単純CT検査、超音波検査、MRI検査やPET/CT
  などがあります。しかし、これらは造影剤を使用した検査に完全に置き換わるものではなく、
  必要な情報の得られない可能性があります。

6.検査の同意を撤回する場合
  一旦同意書を提出しても、検査が開始されるまでは検査をやめることが出来ます。
  止める場合にはその旨を指定連絡先へ連絡するか、担当医や放射線センターの
  スタッフに直接伝えてください。

(別紙)冠状動脈造影検査(心臓に血液を送る血管の検査)

 目的:心筋梗塞や狭心症の診断と、病状をより確実に評価することが出来ます。
    この検査により、必要な治療法(カテーテル治療、開胸バイパス手術、薬物治療、機械の
    サポートの有無)を決定します。
 方法:@検査は、カテーテル検査室の検査台の上に仰向けに寝た状態で行います。
    A足の付け根や、手首などに局所麻酔を行う。全身麻酔ではないので、意識がなくなる
     ことはありません。
    B足の付け根や手首などの動脈に針を刺して、カテーテルと言う柔らかい細い管を
     動脈内に挿入、心臓の近くの冠動脈まで進めます。
    Cカテーテルから、冠動脈に造影剤を注入し、冠動脈狭窄、閉塞の有無、程度、部位を
     評価します。
 合併症:
    死亡(0.01%)、心筋梗塞(0.06%)、脳血管障害(0.06〜0.2%)、出血、感染症、
    造影剤アレルギー・局所麻酔アレルギー、腎機能障害、動脈損傷、冠動脈穿孔、不整脈、
    コレステロール結晶塞栓、動脈閉塞など。

以上の説明を受けると、「ヨード造影剤を用いるX線画像検査に関する同意書および問診票」が
主治医より渡され、検査日(2016年4月27日)と検査名称(冠動脈造影)の記載を確認の上、
上記説明を受けたことを確認し、下記の問診に対して回答したことを確認して署名することになる。

日本医科大学千葉北総病院長殿
私は上記に予定されているX線画像検査に関し、別紙「説明文書ヨード造影剤を用いるX線画像
検査」により上記説明事項につき十分な説明を受け、質問する機会を与えられ了承しました。
ヨード造影剤を用いるX線画像検査を受けること、また万が一ヨード造影剤の副作用が起きた場合、
必要な処置を受けることに同意します。
同意年月日:   
本人自署又は記名押印:

問診
@これまで造影剤を使った検査を受けたことがある。
A造影剤を使用して副作用の起きたことがある。
B気管支喘息で治療したことがある。
Cそのほかのアレルギーの病気の治療をしたことがある。
D次の病気をしたことがある。甲状腺機能亢進症、重症筋無力症、腎臓病、心臓病、糖尿病。
E糖尿病のためのビグアナイド系糖尿病薬を服用している。

以上の同意書提出により、事前の準備が完了する。

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